神経芽腫
手術という観点から見ると、神経芽腫という病気は、1期的に摘出できる症例と、化学療法の後の2期的切除になる症例では異なった病気と言えます。1期的切除の症例は、腫瘍の裏に指が入るまでが勝負です。指が入って腫瘍を手の内に入れれば、もうその腫瘍は摘出できたも同然です。化学療法後に摘出する症例、すなわち進行神経芽腫では、どの程度の郭清をすべきか大変難しいと言えます。手術のコンテストをやっている訳ではありませんから、可能な限りの摘出が出来たからと言って、それで良かったという話にはなりません。神経芽腫とは何かということを理解した上で、手術しなければなりません。そうなると、手術は当然、縮小手術に向かいます。進行神経芽腫は通常1歳以上ですが、同じ1歳以上の症例でも2歳の子の方が、年長児よりも予後が良いはずだと僕は思っています。また、手術や放射線療法の後障害も2歳の子の方が、年長児よりも強く出るはずです。手術という手技も治療方法の一つである以上は、年齢を考慮した神経芽腫の手術の仕方があってしかるべきです。このことを言っている小児外科医は世界に一人もいませんが、ここらあたりに神経芽腫の治療成績を向上させる鍵があると僕はにらんでいます。