横隔膜ヘルニア
周術期管理をすべて自分たちでやっている僕たちの施設では、出生前に診断された横隔膜ヘルニアの管理の大変さは筆舌に尽くしがたいものがあります。ECMOとCHDFを回しているような症例では、1人の赤ちゃんに医局員が総力を結集して治療にあたります。ちなみにECMOを回しながら同時に神経芽腫のお子さんにPBSCTを行った時は本当に疲れました!
さて、周術期管理が大変大変と言っていますが、手術しなければこの病気は治りません。で、手術ですが、横隔膜と横隔膜を縫うだけです。こんな単純な手術もありません。わりと若手にも手術が回ってくるのはそのせいでしょう。しかし、だからこそ、手術の基本ができているかどうかが一発で分かってしまうのです。この手術は赤ちゃんにストレスを与えるべきでないという観点から少しでも早く手術を終了させるべきです。一発で運針して素早く縛る技術が必要です。
では、簡単な手術?いえいえ、症例を重ねれば重ねるほど実に様々な横隔膜ヘルニアに出会います。横隔膜のヘリがほんのちょっとしかない症例、横隔膜が全欠損している症例。右側のヘルニアもありますし、その際、開胸したほうがうまく行く症例もあります。
出生前に診断される症例は、全欠損のことがしばしばありパッチ修復が必要になります。これがまた問題をはらんでいて、成長によってパッチが相対的に小さくなり外れてしまったりするんですね。Re-Opeが必要なことも珍しくありません。放置すると内ヘルニアになりますから。
手術によって劇的に具合が良くなる、、みたいなことがあれば良いのですが、重症例ではそういったことはほとんどなく、なんともやりがいとか感激とかを得にくい疾患です。めげずに術後管理をがんばりましょう!