ヒルシュスプルング病

数ある小児外科のメジャー手術の中では比較的定型的と言えます。つまり、勉強したことがそのまま手術に返ってきます。
最近では腹腔鏡下手術、経肛門的手術などが増えてきていますが、古典的にはSwenson, Soave, Duhamelということになります。兵庫県立こども病院はSwensonを行う数少ない施設として高名ですが、現在はどうなのでしょうか?
僕の経験では手術の簡単さでDuhamel、手術の信頼性でSoaveという印象を持っています。それぞれに長所があるということでしょう。ちなみに術後は、Duhamelは下痢気味にSoaveは便秘気味になります。
Duhamelはもちろん変法で行います。池田先生のZ吻合で行うのですが、池田鉗子の代わりにGIAを使用しますから、正確な術式名はDuhamel-Ikeda-GIAと言うべきです。僕はこの手術を理解するのに2年かかりました。
成人外科の先生と話をしていて、このDuhamel-Ikeda-GIAを絵に描いて説明すると、、、口頭で説明するのはほぼ不可能ですから、、、成人外科の先生はこんな小さな子どもにこんな複雑なことをするの?と大抵驚きます。まあ、そうでしょう。成人の直腸がんの手術とは複雑さが桁違いですからね。とは言っても、冒頭に書いたようにヒルシュスプルング病の手術は、Extensive Typeでなければ定型的と言っても過言ではありません。正しい手術をすればその結果は必ず患者さんに返ってきます。とてもやりがいのある手術と言えましょう。
余談ですが、高橋名誉教授の最終手術はヒルシュスプルング病のDuhamel-Ikeda-GIAでした。名誉なことに僕が前立ちを務めさせて頂きました。麻酔は西野教授でした。65歳の高橋先生の腕さばきは、それはもう流れるように滑らかで、IVH挿入の時間も含めた全手術時間は3時間32分でした。