映像の世界
中学生の頃から映画が大好きでした。高校生の頃から毎年、上野の美術館に日展を観に行っていました。色とか形と造形とかにとても興味があります。
とりわけ、映画というのは、色彩に音が加わっていますから、最高の芸術だと思います。これまでたくさんの映画を観てきましたが、「この1作」と言われたら、ほとんど迷いません。フランシス・フォード・コッポラの『ゴッド・ファーザー』です。
この作品はマフィア映画じゃありませんよ。移民の物語です。ある家族の歴史を描いた叙事詩です。美術も音楽も一級品です。脚本も素晴らしいし、配役も絶妙です。
アル・パシーノが見事な役を演じているのは言うまでもありませんが、何と言っても「はまり役」なのは、ロバート・デュバルの弁護士トム・ヘイゲンと、ジョン・カザール演じるフレドです。ジョン・カザールは生涯5本の映画に出演して、そのすべてがアカデミー賞にノミネートされ、3本が作品賞をとり、彼は42歳でがんで死んでしまうんです。すごい人生ですよね。メリル・ストリープと婚約していたというのもすごいですよね。ロバート・デ・ニーロと共演して、なおかつ、女版ロバート・デ・ニーロと婚約していたんですからね。
監督で好きなのは、アルフレッド・ヒッチコック。すべての作品が、これぞ映画っていう出来ですよね。最高の映画監督だと思います。