大学を辞めるにあたって、最大の葛藤はがんの子どもたちとの関わりあいでした。
初心に帰って、僕が小児がんに挑むきっかけになった本を紹介します。医学部の学生の時に読んだ本で、内容に大変、ショックを受けました。この本はもう手に入らないと思います。
このドキュメントの一節を紹介します。これにはやられました。そして、小児外科医になりました。
「ママ、ボクが死んだら、またボクを生んでくれる?」
「いいわよ」
「死ぬって、どういうことなの?」
「羽根が生えて、天国に飛んで行くことよ。ママと二人で飛んで行くから、怖いことはないのよ」
「ママは死んじゃだめだ。ママが死んだらボク生まれないもの。すぐにボクを生んでよ」
「・・・・・・・」
「パパごめんね。ボク、頑張るって言ったけど、もう頑張れないよ」
小児がんの記録
ママぼくをまた生んでね
大野 芳 (潮出版社 昭和56年初版) から抜粋